3.11 絵本プロジェクトいわて

絵本プロジェクトいわてへの協力のお願い

私は昨年の5月に、家族とともに父の故郷である岩手に引越しました。岩手山を望む美しい田園生活に感謝して暮らし、難しい障害を負った長男も、この地に来て初めて手厚く診て頂いております。ところが、この3月11日に、本当に恐ろしい地震が起きました。私どものところは内陸部ですので、数日停電したり、断水した程度でした。最初はラジオだけの情報でしたが,やがてテレビを見られるようになって、その惨状の凄まじさに言葉を失いました。その中で私自身の曾祖父の弟も、その昔、田老町の郵便局長だったそうですが、明治29年の三陸大津波で一家全部が亡くなったと、家族の歴史を今回初めて聞きました。

そして、長年にわたるIBBY(国際児童図書評議会)の活動を通して、戦火にさらされた子どもたちが誰かの膝に乗せてもらって、絵本を読んでもらうときだけ、おだやかな気持ちを取り戻せるということを知りました。 それは、各地で起こる災害のときも同じでした。このようなことを見聞きしてきた自分が、いまこの岩手の地におり、皆さんによくして頂いていることの不思議を思い、私のできることを考えました。それで絵本を集めて、避難所の子どもたちに読み聞かせをすることができないかと考えました。幸い、こちらでも行政や、新聞社の人たち、絵本関係の人たちとの関係の輪が大きく広がっております。

そんなわけで、いま皆さまにお願いしたいのは、新しくなくてもよいので、絵本を送って頂きたいということです。また、絵本を届けるためには活動資金が必要となります。少しづつお金も寄せられてはおりますが、まだまだ必要な額にはほど遠いのです。あまりに大きな被災地ですので、たくさんの方に寄付をお願いしたいと思っております。 私自身は2人の病人を抱えておりますので、自分では動けませんが、人と人を繋ぐことをしたいと思います。送って頂いた本をまとめて、ボランティアの人たちにそれを持って現地に行ってもらえるようにしたいと思います。いまは、現地に入ることはとても難しいようですが、私の気持ちとしては一刻を争うと思っております。こちらの人たちのアドバイスでは、現地に入る支援活動の車に便乗するなどのゲリラ的な方法がいちばん現実的で手っ取り早いということです。

そんなわけですので、どうぞ絵本を送ってください。寄付もお願いいたします。幸い、東京におります次男夫婦やその友達もなんとしても手伝いたいと協力してくれています。彼らには、まず、私の手持ちの絵本を持っていってもらいたいと思っております。 どうぞよろしくお願いいたします。

2011年3月24日 末盛千枝子

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